資本主義勝利のつけ 5
背景には、資本主義の生誕以来、政治的権力の主要な場となってきた国民国家がみずからの権限を上流と下流に向かって譲渡しつつあるという事態が存在します。
今日、国際政治に関しては、国民国家よりもマイナーな地方的権力(自治体、住民運動)が、意思決定権の主要な場となりつつあります。
この政治の無力化と対になって進行しているのが、ナルシスティックでエゴイスティックな個人主義の蔓延です。
今日、諸個人はもはや利害の異なる社会諸集団をいかに統合して、社会的統一をうちたてるかということに関心を抱いていません。
テレビ画面でみずからの幻想的な映像とたわむれ、自己自身の身体の管理に憂き身をやつしています。
コミュニケーション・メディアの発展や社会福祉の公的・私的サービスの増大を背景にして、ナルシスティックな個人主義が人々の意識に浸透していきます。
政治家は社会福祉を最優先の政策課題とし、この個人主義に媚びを売ることしか出来ません。
イデオロギーが衰退し、貨幣が万能の力を手に入れ、社会が統合力を失って分裂していく・・・。
そこに現出するのは、暴力的な混沌状態というきわめてペシミスティックな未来像なのです。
「豊かなものと貧しきものとの闘いは続くが、この闘いを決するのはただ暴力のみである」。
・・・これがある経済専門家の言葉です。