階層なき学歴社会

日本はよく知られているように、ヨーロッパなどのような階層社会ではありません。


貴族の子は貴族、農民の子は農民、商人の子は商人と、何世代にもわたって固定されてきたヨーロッパの諸国では、同じ国民とはいえ、階級によって顔つき、体格からして異ります。


もちろん、上流階級と下流階級では財産も比べものになりません。


そういう国では、教育を受けたからといって社会のリーダーになるのは難しいのです。


また、中・上流階級の子弟でない者が大学へ入学するのはまだまだ困難です。


たとえば、フランスは典型的な学歴社会で、政府や企業のトップは独占的にグランゼコールと呼ばれる少数の学校出身者に占められていますが、そういう学校へ入る労働者階級、農民階級の子弟はまれで、ほとんど中流階級と上流階級の出身者だといいます。


どういう階層に生れるか、ということが生涯にわたって決定的な影響を及ぼすのです。


それに対して、わが国では社会階層が明確でありません。


しかも、明治以来の近代化の過程の中で高い教育を受けた人びとが各界で大きな役割を果しました。


福沢諭吉の理念は明治の青年たちを鼓舞し、大学は国家有用の人材を、広く社会の各階層から吸収したのです。


もちろん、戦前において学制は複雑な体系をとり、中学、高校、大学と、進学できるのは良家の子弟が中心でした。


しかし出身階層のいかんを問わず、学歴は社会的威信を決定しました。

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